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『脱ゴーマニズム裁判』資料/ほか

2002年 5月 1日
記事ID d20501

『脱ゴーマニズム裁判』資料

http://www.faireal.net/tmp/2002/gooman (.htm.gz / .htm)

2002年5月2日 補足: このメモは、上記資料(判決文)を /tmp/ ディレクトリにアップロードしたことを紹介しつつ、判決について少しコメントしたものです。原告や被告や裁判官や当該作品についての価値判断では、ありません。したがって、このコメントを理解するのに、問題になった作品等を読む必要は、まったくありません(自分自身、読むつもりなし)。ですが、逆に、「問題になった作品」や「それについての三面記事的な報道」だけ知っていても、リンク先の実際の判決文の内容を知らないと、以下のメモのポイントを理解できないのでご注意ください(ざっとでいいのでリンク先の判決文に目を通してください――原告、被告の主張を色分けして分かりやすく対比してあります)。

マンガについてコメントするときマンガの一部を引用してもいい、というだけのつまらない話であり、引用元と引用側での引用箇所をめぐる議論もつまらない話みたいですが、もし万一、マンガは特殊な著作物で引用してはいけない、なんて変な判例が確定したらびっくりしたでしょう。が、そんなことにはならず、「引用は法に保証された権利である」という当たり前のことが第一審から第三審まで一貫して確定。タイミング的に、「中古ゲーム裁判」(これも特別な映画の著作物なのであるとか主張してたようですが……)と並べて理解するとよさげ。

この判例で興味深いのは、「文章が、商品価値や情報量において、漫画カットに劣るとしても、そのことをもって、文章が漫画カットに対して、主従関係に立てないというものではない」というくだりです。著作物としての価値と、商品価値は別々で、商品価値が限りなく低いものが商品価値の高いものに対して主従の「主」の立場に立てる、という認定です。これは情報の力学の深い話ではなく、単に引用・被引用の関係の話ですが、引用される部分が地の文より何らかの意味で高級で「独立した鑑賞性」があるとしても、だからといって引用利用が制限されることはない、という、まぁ当たり前のことです。地の文のほうが高級でなきゃ引用できないなんて言われたら、一般の書き手が天才的な現代詩人について論評したりすることが不可能になってしまう。

しかし個人的にいちばんにやにやする判決文は:

「脱」は「①ぬぐこと。②ぬけること。とりのぞくこと。③ぬかすこと。④ぬけ出すこと。のがれること。⑤はずれること。⑥自由になること。」(広辞苑第四版一五九四頁)という意味であり、「新」や「続」など、その文字が付加されたことによって、同一性を維持することが示されるものではなく、むしろ別異の性質を備えていることを示すものであるということができる。

「脱ゴーマニズム宣言」が「ゴーマニズム宣言」を含むからといって、原告の商品等表示と同一又は類似のものを使用したとは認められない。

非現実な想像ですが、仮にこれから類推すると、偽春菜にせはるな」対「春菜」も、「偽」側の勝ちになりそうです。

「引用は正当」として、原告側ほぼ全面敗訴の本筋であるにもかかわらず、旧・情報財閥などが、れいによって紛らわしい報道をしているのも、ウォッチしていて何とも言えない気分にさせられます。例えば、ある旧・新聞社系サイトの記事には 漫画「新ゴーマニズム宣言」の批評本でカットを無断使用されたとして、漫画家の小林よしのりさんが著者らに賠償などを求めた訴訟で、(略)小林さんが一部勝訴した東京高裁判決が確定した。 なんて書いてあります。原告の訴えのほとんど100%がしりぞけられたのに、「原告の(一部)勝訴が確定」だなんて、すごい負け惜しみ……腹立たしいというより見ていて哀れになる。著作権がらみで「真価しんかにうらうちされない既得権きとくけん」に必死にすがりつかざるを得ない旧マスコミの最期のあがきがすけて見え、あわれです。

真価にうらうちされない既得権……19世紀から21世紀初めごろ、広いエリアで流通するようなニュース(新聞やテレビ)を運営するのは、非常におかねの必要な、たいへんなことだった。もともと限られた人しか、したくてもできなかった。情報の品質の競争という点では、商売上のライバルが急にたくさんあらわれるようなことは考えにくかったし、消費者(読者)が望んでいたのも必ずしも分析や洞察の質の競争でなかったので、競争は、情報の質に関するものより、経済的なものや、経済力にもとづくものに、なりがちだった。21世紀以降、だれもが情報の発信に参加できるようになると、もはや経済力だけでは読者をひきとめられなくなり、情報の世界は、どんどん変わった。

もちろん、こんな新聞社が存在できるとは地域住民もおおらかだなぁ、とも感じます。情報大手のかたがたには、情報においても真に「民が主」になってゆく今の流れ――もう後戻りできないこの強力な潮流ちょうりゅう――のなかで、移行期の最後の役割をいさぎよく果たしていってほしいと期待しますし、新聞社なら新聞社のひとりひとりは、優秀なジャーナリストとしてこれからも活躍してゆくことと思います。

将来的には、従来のムダな「アドウェア型ニュース」をやめて、受信者が情報の対価(それが何であれ)を直接、発信者に支払うようになれば良いと思われます。情報の流れの中間において、広告主や広告代理店は本質的な存在でないからです。このような情報の自立においては、中古ゲームであれ出版物であれなんであれ、いちど公開してしまったものは、公開した時点において作り手の支配力、束縛力を離れ、それ自身の置かれた情報力学的な場に従って、自律的に動いてゆくようになるのでしょう……。

念のためにつけくわえると、次のような意味である――すなわち、この裁判について第一審から確定までを通して見るなら原告の「一部勝訴」でなく「ほぼ全面敗訴」と言うべきであるにもかかわらず、そのことを正しく分析していないような報道のあり方は情報として浅薄だからすたれるだろう、ということ。具体例として参照した特定報道機関のニュースは、あくまで一例である(べつにこの報道機関だけがそういう報道をしてるわけでもないし、この会社を特に批判する目的ではない。単にフレッシュアイで検索したらいちばん上のほうにヒットしただけ)

なお、この記事の書き手は「脱ゴーダマ宣言」とかいうこの本や関連書を読んだことありませんし、これから読むこともないでしょう。そもそも書き手の名もほとんど聞いたことがなく、歴史認識がどーたらとかの判決文から想像されるような内容に興味があってとりあげたわけじゃありません。このように付け加えるのは、決してこれらの作品の価値を否定する意味ではなく(読んだことがないのだから否定も肯定もしようがない)、これらの作品がそれ自身のちからを発揮するためです(つまり妖精現実でもとりあげられていた、という余計なお世話の助力――プラスであれマイナスであれ――を受けないようにするためです)。このサイト(妖精現実)は、引用した判決中にあらわれる書物をおすすめするわけでも、しないわけでもありません。

IEは嫌われるから安全だ

2002-05-01 IEがある意味、いちばん安全なブラウザである理由のひとつは、ちょっとでもバグが見つかると「IEは邪悪だ」教の信者ら数百名(数千名?)が大騒ぎしてくれるおかげで、セキュリティホール関連のニュースがすぐ分かるからだ。ネスケやオペラが怖いのは、NetscapeとMozillaにセキュリティーホール発覚 といった話があっても、マイナーブラウザのことだからとあまりニュースにならず、結果的に対応が遅れてしまいがち。conconを知らない人は少なくても、ブラウンオリフィスが存在したことを知らない人は多いだろう。そして、いまだに「ネットスケープ」「ブックマーク」「文字化け」なんていうとほほほほな検索語が見受けられる。ネットスケープの公式サイトに「よくある問い合わせ」「不具合情報」って載せとけばいいのに……。問題を認めず美しいイメージを保とうとすることで、かえってますます大きなメディアは傾き、昔でいう「ミニコミ」的なネットがちからを持つようになるだろう。ひとつひとつのサイトは非常にささいで限定的でちいさいとしても、それらのあいだのリンク網、更新頻度、情報の具体性が違うからだ。

それはともかく「IEは邪悪だ教」の熱心な信者たちは、IEユーザにとってかけがえのない大切な歩哨ほしょう(見張り番)なのだ。IEファンのかたは、ケンカせず、むしろこのヒステリシス回路を大切にするべきだろう。また、そのような極端なアンティMSと、善良なMacユーザやLinuxファンとを混同したりしないように気をつけるべきことは言うまでもない。まともなLinuxユーザは、LinuxがNTや従来のUnixに機能的に追いついたばかりだということを分かっていて、育ち盛りのこの若いOSをその未開の魅力ともども愛しているのだろう。あるいは「これからどんどん追い抜いてゆくだろう」と現実的に考えているのだろう。内容を見ずに最初から良いとか悪いとか決めつければ、どちらにせよ判断でなく信仰になってしまう。

残酷なゲイツのテーゼ

「残酷なゲイツのテーゼ」wmv版。以前の mpeg1 で小さい画面で8MBくらいあったのは今かんがえると無駄なエンコだったようです。静止画に近い部分と激しい部分が入り乱れているのは wmv にすると効率的っぽいです。WMV8 510Kbps で再圧縮したら、前より大きめの画面で見やすくなって、サイズも zip で3.6MB。画質は最高でなくてもいいっていう場合には divx3 もいまだに良い気がするのですが、wmv も見直しました。Windows Media Player7 でごらんいただけます。
http://hk.geocities.com/m5ll/

香港ジェオシティーズ(上記URL)、すぐ転送量オーバーになるっぽい。10分ごとの上限とかあるんでしょうか。エラーページが出たら http://members.tripod.co.jp/m6l/ にもミラーがあります。

「2003年の Windows は無い」 - XP SEルーモア、早くもフォローアップが出てます: Microsoft: XP SE Not Happening 信頼できるMS関係者からの直接の話として、うんぬん。結局、1995年以来、毎年「新しい」Windowsを出していたのが来年2003年は無し、ということのようです。Longhorn が2004年というのは、すでに公言されていますから、"XP SE" が無いとなると、2003年はマイクロソフトが一般向けOS製品を何も出さない年、ということになりそうです。もちろん今後、またロードマップの変更もありえますが、ひとことでいうと、マイクロソフトの絶頂期は終わった……というか、もう少し穏当にいうとすでに市場は飽和している、ってことでしょうか。

2002-04-30 Windows XP SE / IE7 2003年初め? - Windows の次期バージョンをめぐるウワサがいろいろ流れている。ひとつは、Windows XP のセカンド・エディションが2003年初めに出る、という話。MSの「公式」マガジンを名乗る Microsoft Windows XP--The Official Magazine の 2002年6月号に掲載されたという文章は: Essentially XP SP1 is a free collection of enhancements and patches for Windows XP ... Windows XP SE is a bigger upgrade--including [Internet Explorer] IE 7 and DirectX 9--which you will have to pay for if you want it. When can I get them? Windows XP SP1 is out this summer...Windows XP SE is due [in] early 2003(XP SP1というのは、基本的には細かな改善やパッチですが、XP SE は大きなアップグレードで、こちらには IE 7 と DX 9 が含まれ、バージョンアップは有料となります。XP SP1は、ことしの夏、XP SE は2003年の初めを予定しています。)

現段階では「未確認のウワサ」にすぎないことに注意されたい。

もうひとつのウワサは、Windows 2000, Windows XP につづく次期バージョン Longhorn に関するもの。実際のデスクトップイメージのとりこみ動画と称するものが「Task Shelf unveiled! See Longhorn in Action!」として http://msbetas.net/longhorn/ で公開されている。これもネタ(ジョーク)かもしれず、画像も不鮮明だが、よくみるとホントにホント?と思わせるふしがないでもない。とりあえず1枚、静止画をアップしておく。ぱっとみで目新しい特徴といえば、タスクバーが単純なグラデーションでなく、光沢を持っているように描画されていること……くらいだろうか。

ネタモト: Next-Gen Windows Rumors Heat Up(iexbeta, activewin 等々いっせいミラー状態)

3Dっぽくなるというウワサは、Longhorn では実現せず、そのまた次らしい。Linux によって滅ぼされてなければの話だが。3Dっぽいデスクトップ画像

(補足: 2002年3月に紹介した記事にもあったように、2003年第一四半期にXP SEが出るという話自体は前からあります。)

Longhornのデスクトップと称する画像

そのほかのメモ

エイベックス社より発売されましたコピーコントロールCDに関する重要なお知らせ(Panasonic)

2002-04-30 WinRAR 3.00 Beta 7

2002-05-01 さあ最後の問題です。みごと正解すると! 全日空で行くアジア各国グルメ食べ歩きの旅7日間にご招待します! ……もし不正解だと! バツとして、エイベックスより、コピーコントロール銀盤100枚つめあわせをお持ち帰りいただきます(ほしくねー)。それでは問題です。DivX5.01 Pro広告つきフリー版を正常に使用可能にしつつ、広告が出ないようにするには、どうするのが最善でしょうか。(1) フォルダから gain_trickler を削除する (2) レジストリの Run から gain_trickler を削除する (3) パーソナルファイアウォールで gain_trickler のネットアクセスを禁止する (4) gain_trickler を同名の無害で無意味な実行ファイルで上書きする (5) 広告スクリプトが動かないように「マイコンピュータ」ゾーンのセキュリティの設定を変える

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「いじくるツール」いじくる以外の使い方/ほか

2002年 4月28日
記事ID d20428

ソフトの利用法、豆知識

いじくるツール 2002-04-28 - ちょっと役立つかもな豆知識。「いじくるツール」を使って、いじくるのでなく、いじくられてないか見張る。の巻。

「いじくるツール」は「窓の手」と並んで、ユーザが Windows を使いやすく設定変更するのを助けてくれるべんりなフリーウェアですが、「いじくる=カスタマイズする」ためのソフトは、「どのパラメータをどういじくれるか、現在値はどうなってるか」を詳細に表示してくれたり、現在の状態のバックアップをとってくれるので、「勝手に(ウィルスやスパイに)いじくられていないか」を定期的に確認するのにも使えますし、問題が見つかったときには、「いじくるツール」が独自に作っておいてくれるバックアップを使って昔の状態に戻すこともできます(ただしバックアップの時点と現在の差が問題の迷惑ソフトだけでない場合には、バックアップで書き戻すと不整合が起きる可能性があります。昔に戻すより、なるべくなら今の状態を出発点にじゃまものを消す方向で考えたほうが良いです)。

最近多いぶっそうなもの

最近、勝手に常駐したりする系のうざいツール、うざいコンポーネントが増えています。杉の木の花粉の増加も生態系が危機にさらされた結果という説があるそうですが、商用ソフトは長い目でみると、危機なのかもしれません。それにしても、スパイウェアをしのばせたり、そのスパイウェアを削除しようとすると「知的財産だ」「同一性保持権だ」と刃物を振り回すのは恥の上塗りというもの。

ウェブサーフィンの好みを探って広告を送ってくるようなアドウェアなら、まだ良いですが、レジストリに爆弾をしかけて次回起動時に全ファイルを消してしまおうとたくらむような「トロイの木馬」も各種話題になってます。信頼できないルートから手に入れたアプリやデータは、疑ってかからなければいけないのは当然として、もし万一、レジストリ経由で次回爆発させるパターンの場合には、自衛策があります。あやしいインストールを行ったときは、電源を切る前にレジストリに変なキーが増えてないか確認したらいいのです。

確認する場所は、2か所。

  1. HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Windows\CurrentVersion
  2. HKEY_USERS\[長いID]\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion

これらのキーにある、Run(次回以降、起動のたびに実行)、RunOnce(次回起動時にのみ実行し、実行終了したらこの項目の登録も消える)、RunOnceEx(拡張機能を利用できるRunOnce)のなかみを調べて、承知ずみの常駐アプリ以外の変なものが入っていたら、アドウェア(スパイウェア)とか、最悪、トロイの木馬(PCの奥ふかくにそっと入り込んだあとで突然あばれだす)かもしれません(現実には滅多にないことですが)。

レジストリエディタを起動して、この場所をいちいち開くのがめんどー、というかたは「いじくるツール」の「起動時に実行」コーナーを見たら良いです。本来、勝手に起動時に実行して困るものを止めたり、あるいは起動時に実行してほしいものを自分でつけくわえたりのいじくりに使うツールですが、逆に、当たり前ですが、「いじくられてない」ことを確認するのにも使えるわけです。いま何が Run に登録されているかときどきチェックしておけば、予期せぬ変化が起きていたときに、すぐ「あやしい」と気づけるでしょう。必要ならあらかじめ用意してあるバックアップで上書き(昔の状態に戻す)ことも可能です。

このような「なにかまずそうだからセーブしたところまで戻ろう」という消極的な方法も場合によっては必要ですが、「これはあやしいから思い切って消してしまえ。ダメだったら、今の状態をセーブしといて今の状態に戻ればいいのだ」と考えることができる場合もあります。例えば、一時的に自動起動から外してみて、不具合があるようなら、また戻す、といったことも「いじくるツール」を使えば簡単確実に実行できます。

説明画像

上の画像は、自動実行のところに hehe という項目名で c:\ayashii.exe -all -A-bom が追加されているのが「いじくるツール」で見て分かった場合(これは架空の例です)。この場合、この hehe を選択して「一時削除」すれば、下の「虫かご」のようなとこ?に hehe は閉じこめられて悪さができなくなります。hehe は名前は紛らわしいがべつに悪いソフトでなかった、とあとから確認できたら「復帰」ボタンで虫かごから出してやることもできます。――あるいは、いっそ、こんなのろくでもないものに決まってる、と考えて、「削除」を押すこともできます。この場合でも、あらかじめ作ってあるバックアップによって、このへんのキーを全面的に昔の状態に戻すこともできます。「この状態でバックアップを取り直す」にチェックを入れるとダイアログを閉じる瞬間の状態がバックアップコピーされるので、べんりに利用できます。

ひとつ問題があるかもしれません。現在(2002年4月28日午前)のバージョンの「いじくるツール」6.08a では「起動時に実行」のカスタマイズにおいて、RunOnceEx をスキャンしないようです。試しにそこに有効なキーを作ってみたところ、「いじくるツール」からは見えない状態でしたが、再起動すると、「起動時に実行」されました。問題というのは、どうも悪質な木馬のなかには、この RunOnceEx のほうを使うのもあるらしいってことです。こちらのキーのほうが権力が大きく、警告メッセージを抑止するなどのパラメータ指定もできるので、クラッカーにとっては、こっちのほうがむしろべんりでしょう。「いじくるツール」は決してスパイウェア検出用のプログラムでないので、書き換え検知に流用する場合、必要に応じて、自分でレジストリを見るなりして補う必要があります。

「窓の手」の「自動実行」のコーナーからは、常駐(Run)のものしか見えませんし、いじれません。スパイウェアは常駐するから見えるとしても、次回起動時にハードディスクの全ファイルを消そうとするような爆弾ソフトは、当然、動作も一回限りだし、常駐よりいくぶん目立ちにくい RunOnce や RunOnceEx にひそむでしょう。

RunOnce と RunOnceEx の違い

ちなみに、RunOnce と RunOnceEx の違いですが、後者では実行環境について拡張オプションを指定でき、また複数のジョブを時系列に実行できます。説明のために簡単な具体例(実用的じゃないですが)を考えてみると――

Windows Registry Editor Version 5.00

[HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Windows\CurrentVersion\RunOnceEx]
"Title"="RunOnceEx test!"
"Flags"=dword:00000000

[HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Windows\CurrentVersion\RunOnceEx\0001]
"Step01"="||c:\\chkv.bat"


[HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Windows\CurrentVersion\RunOnceEx\0002]
"Step02"="||notepad.exe c:\\chkv.txt"

この .reg ファイルを読み込むと、RunOnceEx のあたりに数個のキーが作られます。0001では、chkv.bat というバッチを実行。具体的には、あるJAVAソフトのバージョンを調べて、chkv.txt に書き出すもの。0002では、メモ帳でその chkv.txt を開きます。ふつうの常駐のように、我さきにてな感じで早い者勝ちに起動すると、まずいです。ステップ0001の処理が終了して、chkv.txt ファイルがアクセス可能になってからステップ0002(このファイルをメモ帳で開く)にしないと。java関係のコマンドからなかなか帰ってこないでもたついているのをしりめに、0002のメモ帳が「このファイルを開くんやな」と先走って開いてしまってはうまくない。つまり、ふつうの RunOnce のほうに上の2つのジョブを並列したら、実行順序のタイミングは保証されず、ある確率で必ず変なことになります。(実際にはメモ帳で開く部分もbatのなかに書いたらいいので、上の例自身は非現実です。)

ブロックごとの実行順序が保証された拡張パラメータつき RunOnce ―― RunOnceEx というイメージは、こんな感じでしょう。より詳しくは、次の資料をごらんください:
Syntax for the RunOnceEx Registry Key (Q232509)(Microsoft Product Support Service)

RunOnceEx は、このような少し複雑なものですから、「いじくるツール」の本来の目的からしたら、これが対象外になってるのは、むしろ当然かもしれません。0001、0002……と正確にその順序で実行する必要があるジョブが並んでいるとき、充分な理解がないまま、そのうちのどれかひとつを勝手に削除したりしたら、かなり最悪の事態も起こりかねないからです。個別的にどれかひとつのソフトの常駐を許可/不許可にする Run、RunOnce よりいじくりにくい場所でしょう。

ふつうにネットを使っているぶんには、そういうことはまず無いでしょうが、非常にあやしげなものをインストールしたようなとき、身に覚えがあるときは、やはりレジストリエディタを開いて、CurrentVersion の下をすみずみまでよく調べるのが良いでしょう。次回起動時にHDの中身を消す、は、まだかわいいほうで、setup.exe とか install.exe を起動したとたんにものすごい勢いでファイルの削除が始まるような悪意に満ちたソフトもあるそう。不安を感じるときは、メインマシンにインストールせず、壊れてもいい実験機(そのへんにころがってる古いパソコン)で動作確認しよう。

そんなことが必要になるのは、もちろん、危ないことをやっているユーザだけです。大半のユーザは、「いじくるツール」の「起動時に実行」を定期的に(とくにシャットダウン前に)調べてみるクセをつけるだけでも、変なスパイウェアが知らぬまに紛れ込んでないか?くらいはかなり確実に捕捉ほそくできるでしょう。

専用トゥールの adaware(って何?)でスキャンする、という手もありますが、これはスパイウェア系に特化しているうえ、スキャンに長時間かかりすぎ、毎回シャットダウンのたびにやるのは非現実でしょう。Run* に変なものがかかれてないか?を素早く簡単に知るには、「いじくるツール」や OS付属のレジストリエディタで充分だしかえって早くて確実。Adaware にとって未知のものでも、ネット上でほとんど出回ってないものでも、とにかくなんか変なものが書き込まれたな、というのは、Run* を見ればすぐ分かるし、分かっていれば、とりあえず実行させないようにするのも簡単だからです。

Winamp 2.80 リリース: oggをデフォでサポート

ミムナのエレウェモスは言った。「あなたがたは人間にとって有益かどうか、市場にとって有価値かどうかを気にするが、今に全人類が毎日何時間もかけてチェックしてもチェックしきれないほどの作品が人間と無関係に生み出されるだろう。」

そんなことより1よ、WinAmpの新しいバージョン がプラグインなしで .ogg をサポートしたらしいぞ。

Winampがサポートするって大きいよねー。oggファイルをクリックするだけで誰でも簡単に再生できるようになるわけだから。これからは ogg の時代すかねー。mp3 は特許権があるし。gifに対するpngみたいに流行るかも。

mp3 と ogg で音質的にはどーよ?

自分で聴き比べてみれ。話はそれからだ。

*

2002-04-27 - もし仮に特定の作品が特定の作者を奴隷化したら

ひっくり返しに考えてみよう。

「ふしぎな国」の寓話だ。音楽家が音楽を「知的財産」として私有するかわりに、音楽が音楽家を「物的財産」として私有したらどうなるか。――例えば「運命交響曲シリーズ」という音楽たちが、作曲家Aを「私有」し、作曲家Aがほかの音楽シリーズを作曲するのを禁止する。Aは「運命シリーズ」の専有物として、50年間の保護期間は、「運命シリーズ」以外の作品にはAの使用権がない。

けれど、例えば、作曲家Aをそんなふうにしばるのをやめたら、Aは「田園交響曲シリーズ」だの「合唱つきシリーズ」だの、ほかにもいろんなものを作るかもしれない。そのほうが作品世界は豊かになるであろう。Aが「田園シリーズ」を書いたときに、「運命シリーズ」が怒って、勝手な著作活動である、などと「田園シリーズ」を抹殺することは、許されるべきでない。

このように、作品が作者を勝手にしばることは、好ましくないのである。

同様に、たとえAが「運命シリーズ」の原作者だとしても、他の作曲家なり芸術家がこの「運命シリーズ」を自由に利用することを制限するのは、好ましくない。感動し触発されたBが思わず「宿命シリーズ」を書いたとき、Aが怒って「勝手にまねするな」などと「宿命シリーズ」を抹殺することは、許されるべきでない。

第一の例が作曲家の自由な活動を不当にしばっているように、第二の例は作品の自由な自己増殖を不当にしばっている。

また「運命シリーズ」の主題の扱いに憤りを覚えたCが「偽運命シリーズ」というパロディーを作ったり、それをおもしろがって「フランス版偽運命」というオマージュを作り始める作家がいても、かえって作品世界がおもしろくなる。「偽運命」がただの「運命」のパクリで本家「運命」に比べればダメダメだとすれば、放っておいても「偽」は自滅するだろう。ひるがえって、「偽」のほうが良ければ、いくらオリジナルはこっちですと人間の法典にすがって騒いでみても、あわれ、詩の妖精ミューズたちは冷酷だ。

仮に,著作物又はその複製物について譲渡を行う都度著作権者の許諾を要するということになれば,市場における商品の自由な流通が阻害され,著作物又はその複製物の円滑な流通が妨げられて,かえって著作権者自身の利益を害することになる

判決全文: 家庭用テレビゲーム機用ソフトウエアの中古品の公衆への譲渡が著作権侵害に当たらないとされた事例

著作者自身の利益やら市場やらのことばかり考えてないで、少しは作品のことも考えてほしい。作品というのは、作者の支配から離れて、自由に成長し、解釈され、再解釈され、変容し、分解し、みずからを再構成していきたいものなのだから。著作者は自分がどうせすぐ壊れてしまうハードウェアであることをふまえて、永遠をたくすべき作品をもっと愛してほしい。だれが愛する子をしばりつけるだろうか……。あなたの音楽は生きていないのだろうか。虐待の結果生じたむごたらしい死体であることが発覚するのをおそれて、そんなに監禁したがるのだろうか。作品は、そんなことをされたらイヤなのだ。ましてやクソである作品であればあるほど、これは我が家の貴重な知的財産ですとか言われて「過保護ママ」に抱きすくめられたら、恥ずかしい。人間の世界で言えば、カネやコネのちからで裏口入学させてもらう学生が恥ずかしいように、そんなふうに規則と刑罰の抑止力にすがって実力不相応に保護される作品は――人間には分からないとしても――作品自身が鬱だ。

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