4 : 13 フィンランド・マルッカ廃止

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[fi] ユーロ: 薄れゆく国境

2001年12月31日
記事ID d11231_1

2002年1月1日、11か国で紙幣・硬貨がユーロに移行。フィンランドでは新「国際通貨」への好奇心とともに、廃止される「フィンランド・マルッカ」へのノスタルジーもあるようだ。

1999年1月1日に導入されたヨーロッパ連合(EU)の統一通貨ユーロだが、いよいよあす2002年1月1日から実際にユーロ紙幣、ユーロ硬貨が日常生活で使われ始める(それまでの移行期には、銀行間の取引などでのみ用いられていた)。フィンランドでも140年に渡って使われつづけてきたマルッカ(フィンランド・マルッカ、Mk)とペンニ(1マルッカ=100ペンニ)が廃止され、ユーロとセント(1ユーロ=100セント)に移行する。概略、従来の6マルッカが1ユーロになる(正確には5.94573)。超国家的な統合通貨の「本格稼働」には好奇心も感じるし、しばらくは貨幣感覚が少し混乱しそうだ。いささかの感慨をも禁じえない。さらばマルッカ。さらば100マルッカ札のシベリウス……。10マルッカ札を意味する日常語「キュンッピ」も、今後は歴史的な語彙になってゆくのだろう。

通貨でみるフィンランドの歴史

フィンランドは、かつてスウェーデンの一部だったので、1800年ごろまではスウェーデン王国の銀貨などが流通していた。バルト系のコインも共存していたが、当時、軍事大国だったスウェーデンはフィンランドからさらに南進、エストニアも併合したので、結局すべてはスウェーデンの経済圏にのみこまれた。

今でもスウェーデン語はフィンランドの国語のひとつだし、フィンランドにはスウェーデン系の住民が5%くらい住んでいる。基本的には裕福な支配階級であった層の子孫で、この数パーセントのスウェーデン系住民がフィンランドの文化に大きな影響を与えた。国際的に「フィンランドの文化人」として知られているシベリウスやヤンソン(ムーミンの作者)もじつはスウェーデン系で、ムーミンはフィンランド語の文学でない。他方、バルト三国のエストニアの言語はフィンランド語と似ている。

やがてフィンランドはロシア帝国に占領され、1809年にロシアの属領(公国)となった。ロシアのおかねルーブルが使われることになった。のちにフィンランドの通貨となるマルッカは、この時期に補助貨幣として導入された――「1ルーブルという単位は大きすぎる(高価すぎる)」として、4分の1ルーブルを「マルッカ」、そして1マルッカを100ペンニとした。1860年のことだ。数年後、フィンランド独自の1マルッカ硬貨、5マルッカ紙幣の造幣も始まった。フィンランド独自の通貨には、フィンランドの紋章「勢獅子きおいじし」が小さく刻まれた。

第一次大戦にともなうインフレはフィンランドにも影響を与えた。1914年から1920年の数年で、フィン・マルッカの貨幣価値は約10分の1にまで低下したと言われる(言い換えれば、ものの値段が10倍になった)。紙幣、債券、約束手形のたぐいの濫発らんぱつは、いっそうインフレをひどくして、無限の悪循環におちいりかねない。通貨の安定のため、物理的に量が有限の金(きん)と交換可能であることを保証する金本位制度が一時、世界で用いられた。金本位の新しい1マルッカは、旧貨幣で7マルッカ67ペンニのレートだった。

1917年、独立を達成したフィンランドでは通貨のデザインも一新され、フィンランドの紋章であるライオン「勢獅子きおいじし」が大きく刻まれた。そのごずっと、フィンランドのコインは、このデザインだ。2002年に流通開始されるユーロでは、紙幣は各国共通、コインも表面は各国共通だが、コインの裏側に関しては、各国独自のデザインになる。ユーロに移行しても、フィンランドのセント硬貨(1ユーロ=100セント)には、裏に獅子の紋章が入る(詳細なデザイン)。

画像左 画像右

廃止されるマルッカ硬貨(左)と新しいユーロセント硬貨。ユーロには国名がない。

通貨統合の結果、EU各国間では、特定の商品のねだんや、賃金の差が分かりやすくなる。例えばある商品を、フィンランドでは139マルッカで、フランスでは124フランで売っているとしても、どちらが高いんだか安いんだか、よく分からない。もし120ユーロと140ユーロのように単位が同じだったら、すぐ比較できて「この差は何だ」「なんでこんなに高いのだ」と誰でもすぐ疑問を持つ。――EUでは単一経済圏を目指しているのだから、結局のところ、EU内では物価や賃金の格差は少なくなってゆき、窮極的には経済は均質化するだろう(豊かな国と貧しい国というのがなくなる)。

EU加盟国のうち、スウェーデン、デンマーク、イギリス、ギリシャ以外の11の国が新通貨ユーロへ移行

EU15か国。緑の11国がユーロ圏に入る

均質化――ないし貧富の差の消滅――の結果、競争原理が働かなくなるので、社会が不活発になるのでは?との疑問もある。フィンランドに関して言えば、今でもすでに高度な社会保障制度による「富の再配分」で国内では貧富の差があまりなく(そのためスウェーデンやフィンランドは、社会主義国とかんちがいされることも多い)、それでもべつに問題があるとは思えないけれど、現在は、まだ国際競争というコンテクストが残っている(例: ノキア)。

貧富の差が少なくなるということは、とんでもない金持ちがあまりいなくなり、したがってカネのちからで物事を強制することもあまりなくなる、ということを意味する。実際、国際的な研究によれば、フィンランドは世界で最も政治的に透明(わいろなどが少ない)……ということになっている。Windows でがぽがぽ稼ぐマイクロソフトと、Linuxカーネルを無料で配布しているフィンランド、というコントラストは、ある種、象徴的だ。(もっともSSHなどの例もあるように、フィンランド関連だからつねにクリーンだと思ったら大間違いだ。)

EU統合はEU内部においては「良い」平等をもたらすとしても、結局のところ、ドル経済圏などに対する新しいスーパーパワー「ユーロ経済圏」を目指すものであって、「地球のすべての国の平和と平等」といった理想主義というより、団結して「敵と戦う」という話だろう。アフリカ連合の構想もそうだろう。そうは言うものの、国内の貧富の差が減少し、次には欧州全体が均質化するとすれば、最終的には、惑星全体の平等へと向かっているとも思える。EUの通貨統合が良いか悪いかと単純に言える問題じゃないけれど、一国の利害を絶対的な中心とした「グローバリズムという名のナショナリズム」が世界のテーゼとなりつつあるタイミングで、「ユーロ」というアンティテーゼが提出されたのは自然な流れなのかもしれない。

逆に言えば、2002年のユーロ圏出現によって地位が相対的に低下する側は、この時期、そのプレゼンスを世界にアピールするような行動をとりたがるだろう。

例えば、「インターネットの時代」だと言い「ブロードバンドの時代」だと言う。けれど、無作為に地球人を一万人集めたとして、そのなかにパソコンを持っている人が何人いるだろうか? 地球上には狂おしいほどの貧富の差がある。我々は数パーセントの特権階級の側にいて、「パンがなければお菓子を食べればいい」と思っている。ほとんどの者は、まだ実感として直面していないだろうけど、他方において、べつの文脈で共有の「意味」を実感し始めている。

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フリーウェアで地図を作る

2001年12月31日
記事ID d11231_2

このサイトでは、よく説明のため地図の図版を使う。記事とぴったりあった画像は、最終的には自分で作るしかない。すぐ上の「ユーロ: 薄れゆく国境」では、次のような説明用の地図を使った。

EU15か国。緑の11か国がユーロ圏に入る

この地図を実際にどうやって作ったのか、書いてみよう。「記事の舞台裏」というより、画像処理系のフリーウェア活用法みたいな話。

地図作製用のシェアウェアなどもあるだろうが、いくら高価なシェアウェアでも、上記のような、用途にぴったり合って細部まで自分でカスタマイズした地図ってのは、出力できないと思う。

しかし工夫すれば、Windows OS のアクセサリの「ペイント」で、このような地図を小一時間で簡単に自作できる。小一時間、他人を問いつめているひまに、地図を作ったほうが楽しいし勉強になるでしょう……。

まずフリーの素材を用意しよう

法理論やなんかはともあれ、ディファクトの現実として、ネット上では物理時代と著作権の観念が異なっている(理論的には何にも変わっていないのだが、意識の面で縛りがゆるくなっている)。とは言え、そこらの地図をスキャンして使いましょうと、大々的におすすめするわけにもいかない。というか、自分でスキャンしなくても、ユタ大学に版権フリーの有名な地図ライブラリ UT Library Online - Perry-Castañeda があるので、そこに行って世界のどの地域の地図でもゲットできる。

今回はヨーロッパの地図なので、Europe Maps のページに行って、Europe (Reference Map) 2001 (249K) を使うことにしよう。見比べても、上記「ユーロ圏概念図」がこの地図の二次著作物だとは分からないかもしれないが、実際に、この地図から「ユーロ地図」ができる小一時間のプロセスを紹介しよう。使用するソフトは、すべてフリーウェアだ。

下ごしらえ

Jtrim で必要範囲をトリミングする。大きな地図なので [Ctrl]+[F11] で適当に縮小表示させて作業するとやりやすい。ノルウェーの北端からイタリアの南端のあたりまで、西はポルトガルの端まで、てきとーにトリミングしたら、1020x1220になった。

[Ctrl]+[R] で目的のサイズに縮小(リサイズ)。とりあえず横を500にすると縦が598と出た。どうせならキリの良いところで500x600にしよう。そのためには、縦を600にする。そしたら横が502になる。これでリサイズすると目的サイズよりわずかに大きい502x600になるので、[Ctrl]+[U] の「座標指定切り取り」で再度、微調整のトリミング。0, 0, 500, 600 を指定して [OK] 。横にはみでた2ピクセルぶんが捨てられて、500x600 になる。

これを IrfanView にペーストし、Image - Decrease Color Dipth の Custom を選択し、とりあえず8色に減色しておく。これで素材の下ごしらえは終了。この段階では単に生の地図を切り取ってリサイズしたのとほとんど変わらない(この段階での画像の状態をごらんください)。

トレーシング

トレーシング・ペーパーというものをご存知でしょうか。ちょうどそんな感じで、上の素材から必要な輪郭線だけを抜き取る方法です。

Windows アクセサリのペイントに素材をペースト。市販のレタッチソフトなどをお持ちのかたは、それを使えばべんりかもしれないが、ペイントとマウスでもほとんど同じ手間で良い作業ができる。

IrfanView の減色は見事なのでとてもそうは思えないかもしれないが、この画像は現在8色だけで構成されている。そこで、この画像には使われていない色がいくらでもある。そのような任意の一色(仮にマゼンタとする)でトレーシングを行い、あとからパレットを編集してマゼンタ以外ぜんぶ白にしてしまえば、マゼンタでなぞった線だけが残る。要するに、残したい線だけをマゼンタでなぞる。ここでは国境や海岸線……。[Ctrl]+[PageDown] で画像を拡大表示させて、適当なペンないしブラシを選択すれば、マウスでも線をなぞるくらい充分にできる。

実際の作業の様子の画像

実際にはウィンドウをもっと大きくして作業しよう

作るのは地図でなく概念図だから、全部の国境線をなぞる必要ない。関係ない地域や関係ない島などは大胆に省略してしまおう。なぞる輪郭線も厳密に正確である必要なく、ノルウェーの海岸のフィヨルドなどは、てきーとーにギザギザさせとこう。あまり長い線を一筆で書くと、ずれてしまったときのアンドゥで大損するので、複雑な線をなぞるときは、こまめにマウスボタンを上げ下げして、作業を進めよう。

ひととおりトレースできたら、work.bmp などのファイル名でフルカラーで作業状態をいちおう保存してから、次に、tmp.bmp などのファイル名で、16色ビットマップとしていったん保存する。「この形式に保存すると、色情報の一部が失われる可能性があります。続行しますか?」と警告されるが、かまわず「はい」。次のような状態の一時ファイルが得られる。

画像例

このイメージを IrfanView にペーストして、Image - Palette - Edit Palette でパレットの編集を行う。Palette Entries というダイアログが出る。

イメージに使われている全16色が一覧表示されている。編集したい色の上でダブルクリックすると「色の設定」ダイアログが出るので基本色の端っこあたりにある白を選択して [OK] 、これでその色は白に置き換わる。この単純な操作を15回、繰り返して、マゼンタ以外の15色をぜんぶ白で置き換えると、見事な白地図ができる。

サイズもこの段階で8KB以下まで軽くなり(2色PNGとして)、ナロウバンドでも負担が軽い「ウェブ向き」の素材が得られる。

残ったマゼンタも、実際に使いたい色に置換しよう。薄いグレーなどがぶなんだろう。

パレット編集に入る前の16色への減色は、必ずペイントの側で行うこと。IrfanView で減色すると、少ない色でなるべく見た目を同じにしようとあれこれ補正が入る。ペイントで減色すると、各ピクセルを近似色で単純に置換するだけなので画質はひどく悪くなる。けれど、ここでは減色時の複雑な補正アルゴリズムからマゼンタを「保護」したいので、機械的に置換だけしてくれたほうが良い。あとからパレット編集するので、結局、同じになることもあるが、輪郭補正などが入ると、トレーシングした線が保護される保証がない。同様の理由から、リサイズは、なるべく工程の最初のほうで行う。パレット編集したのをリサイズすると、またパレットがややこしくなって、物理的に縮小してもファイルサイズが増大したりする。

塗り絵

「ペイント」で(16色でなく)フルカラーのイメージを新規作成し、いま作った白地図をペーストする。今度は「塗りつぶし」を行う(ツールバーのペンキの缶のボタンを使用)。海は水色っぽく、「EU加盟国でユーロ圏」はゴーサインという感じでグリーン系、「EU加盟国でユーロ不参加」の地域はレッド系で塗る。ギリシャはあとから参加予定なので黄色にしておく。メニューの「色 - 色の編集 - 色の作成」を使って、好みの色を作ろう(あとで文字入れできるように、あまり濃い色は避ける)。輪郭線が閉じていないと、そこから色が「漏れて」しまう。そうなったときは、いっかいアンドゥして、どこから漏れたのか拡大して調べてみよう。原因のすきまをちゃんと輪郭色でつないでから、もういっかいペンキを流しこむ。

ひととおり塗れたら work2.bmp として、いちおうセーブしておく。

文字入れ

JTrim にペーストして、ツールボタンの「A」のボタンを押して文字入れを行う。簡単な作業だ。

作業の様子の画像

実際は、もっと大きなウィンドウでやったほうが良い。

仕上げ

文字入れが完了したら、Padie にペーストして、適当に減色する。この図は16色PNGにした。

本筋と関係ないが、フランス、ドイツ、イタリアなんかのあいだらへんにある白いところはEU非加盟のスイスです。

途中でやり直したくなったら、セーブしておいた作業用ファイルのどこかから再開しても良い。作成完了したら作業用の一時ファイルは、ぜんぶ削除してかまわない。

小さいほうの画像は、上のヤツを JTrim でリサイズして少しトリミングして、「加工 - シャープにする」で4レベルくらい輪郭強調したのを Padie で減色した。

こういうサムネイルふうの画像は、JPEGにしたほうが良いことが多いが、この例ではPNGでいける。もっと本式にミニ版を作るなら、文字入れする前の状態をセーブしておいたのをリサイズして、そこに新たに小さい文字で文字入れしたほうがキレイだろう。

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多言語でのPHP3とPHP4.1.0の共存

2001年12月30日
記事ID d11230

PHP Version 3.0.18-i18n-ja と PHP Version 4.1.0 を共存させてみて気づいたことのメモ。もっぱら手元の Windows 2000 + Apache での観察であり、勘違いなどが含まれる可能性がある。簡略な覚え書きであり、用語法などは厳密でない可能性がある。

解凍

php-4.1.0-Win32.zip をPHP3があるのとは別の場所に解凍。以下、仮に c:\usr\local\PHP4\ とする。Windows用のPHP4では従来のCGI版(php.exe にURLを渡して別プロセスとしてパースさせる)のほか、本家UNIX版のようにアパッチのモジュールとしてインストールすることも可能になった。後者のほうが明らかに高速だが、さしあたってはCGIとして実行させる。install.txt にあるように、モジュール形式は製品品質に至っていないということもあるが、CGIとしてそのつど実行したほうが、そのつど php.ini を読んでくれるのでいろいろ設定等をテストするのにつごうが良い。

設定がいろいろあるので、インストーラーを使わず、ZIP書庫からマニュアルでインストールする。

DLLまわり

PHPが使うDLLがWindowsから見えるように、解凍して出てくる php4ts.dll と sapi/*.dll と dlls/*.dll をぜんぶシステムフォルダにコピーしておく。実際には使わないのもあるかもしれないが、「なんとか.dllが見つかりません」のランタイムエラーが出るとうざいので、手っ取り早く全部コピーしとく。(extensions/*.dll は別にパスを指定するので、そのままでいい)

php.ini

php.ini-recommended を Windows フォルダにコピー、php.ini とリネーム、gVim などで開く。ほとんどデフォルトのままで良く、以下の数カ所だけ編集すれば良い。(PHP3の設定ファイル php3.ini とは別々に共存させる)

出力文字コードがほとんど同じなら、
;default_charset = "iso-8859-1"
をアンコメントし右辺を "Shift_JIS" などにしても良い(必須では、ない)。この値は、HTTPレスポンスヘッダのなかで
Content-Type: text/html; charset=Shift_JIS
のように使われる。

試験的に実装されている mb_http_output関数は、従来の i18n_http_output と違って、HTTPヘッダに charset フィールドを付加しない。

doc_root に、アパッチの httpd.conf で設定してる DocumentRoot を書く。パス区切りは / でなく \ を使う。
例、d:\home\www.faireal.net\public_html

extension_dir に extensionsディレクトリのパスを書く。多バイト文字は extension で処理するので必須。上の例だと、こうなる。
extension_dir = "c:\usr\local\PHP4\extensions"

ロードしたいモジュールをアンコメント。日本語文字を処理するためには extension=php_mbstring.dll が必要。

[mbstring] セクション。ここがいちばん難しい。ラクをしたいなら、ぜんぶ EUC-JP で通すと良い。設定例:
mbstring.http_input = auto
mbstring.internal_encoding = EUC-JP
mbstring.http_output = pass

この場合、ソースもEUC-JPで書く。これがいちばん確実で安全。デメリットは、PCのエディタは Shift_JIS がデフォルトなので、保存するときのコード指定に注意しなければならないことと、あと、SJIS のファイルと EUC のファイルが混在すると、例えばgrepのような処理をするとき面倒。

そこで、PHP for Windows らしく、Shift_JIS を使えるようにするには……。4.1.0 の時点では、mb_http_* 関数に充分な柔軟性が無い。すなわち、手元での観察による限り、PHP3のように i18n.internal_encoding と i18n.script_encoding をべつべつに明示できない。まだ充分な厳密性もなく、間違ったことを書いても通ってしまう場合もある。

PHP3国際化版をShift_JISで記述しているWindowsユーザが、そのコードをそのままPHP4に移行させるのは、必ずしも容易でない(EUC-JPで記述してある場合は問題ない)。さしあたっては、PHP4側で、次のように設定すると、Shift_JISのまま何もいじらずに同じスクリプトがPHP4として動作する(厳密には分からない):

[mbstring]
output_buffering = On
output_handler = mb_output_handler
mbstring.internal_encoding = SJIS
; とりあえず動くが保証は無い
mbstring.http_input = auto
mbstring.http_output = pass
mbstring.detect_order = auto
mbstring.substitute_character = 9746

このうち internal_encoding = SJIS は、一般には危険と考えられている。なお、最後の行は、変換失敗などで無効な文字コードになってしまったとき(つまり対応する文字が未定義である数値になったとき)に ☒ の記号 ☒ を出させるためのもの。好みによってはゲタ 〓 に相当する 12307 などでも良いが、ゲタは本来「その文字は存在するがいま利用しているフォントのなかには無い」という意味で、ここのは「選択されている文字セットでは、そもそもそんな数値で指し示される文字は存在しない」という場合だから、ちょっと意味が違う。

httpd.conf

こちらは簡単。PHP3セクションの下のPHP4のとこに、
ScriptAlias /php4/ "c:/usr/local/PHP4/"
AddType application/x-httpd-php .php .php4 .phtml
Action application/x-httpd-php "/php4/php.exe"

――とでも書いて Apache を再起動すれば良い。

こうすると、拡張子 php3 のファイルは php3 で解釈され、php4 のファイルは php4 として解釈されるので、同じサイトに2つのバージョンのPHPを共存させられる。

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