3 : 26 競争のない孤独

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ホメーロス - 「作者の意図」?

2001年10月28日
記事ID d11028_2

この作品のこの場面で(あるいは作品全体として)作者は何を言いたかったのか?という問の立て方がある。と同時に、ご承知のように、すぐれた作品は「原作者ひとりのプロット」にとどまらない。それは原作者自身が意図・意識・予想していなかった解釈を与えられるだろう。つまらない作品なら結果として作者ひとりのものかもしれない。しかし、多くの作品は、結果として多かれ少なかれほかのストリームを触発する。

そもそも作者などいない、とも言える。実際、詩聖ホメーロスは、こんにち的な意味では存在していないと考えられる。いたとしたら、たぶんカレワラにおけるリュンロットのような役割だろう。ホメーロスにとってイーリアスは人間のドラマというより「機械的な美しさをもった響きのストリーム」であったに違いない。実際、これは文学作品でなく、音のストリームだ。今で言えば音楽の歌曲に近いし、言うまでもなくミューズの領域だ。

そして、そもそも作品などない、とも言える。ホメーロスがホメーロスの世界で完結していると考える人は、いない。作品には音楽のように時間的な始まりと終わりがありえるが、時には3000年たってもまだ続いているし、そもそもの始まりも分からないことも多い。消えたようでも音は時間の記憶としてかすかに漂っている。

音楽の場合、「これは何かを言うためにあるのでなく、これ自体です」という意味が、わりと分かってもらえるだろう。コトバには意味があると思われがちで実際、意味があることが多いが、ときには音響詩もある。「ゼファリーアン 西風さん」「ジプソフィラ かすみそう」というとき、べつに何も言いたくなくて「ゼファリーアン」とか「ジプソフィラ」という響きに耳をすましている。分かるかたには分かるだろう。だから「エレン・シーラ・ルーメン・ノメンティエルボ」とは「エレン・シーラ・ルーメン・ノメンティエルボ」でいいのだ。

「エレン・シーラ・ルーメン・ノメンティエルボ」「エレン・シーラ・ルーメン・ノメンティエルボ」と何度も何度も歌うように繰り返し、きゃはっ、きゃはっ、キレイな音!とぴょんぴょん飛び跳ねるのだ。

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Mad Promo: 脳RAM書き換え装置

2001年10月27日
記事ID d11027c

- Mad Promotion - スグレモノメカ・ナンバー、009

「HB-RAM Writer」――ヒトブレインRAMを安全、簡単、高速に、直接、書き換えることができます。使われていないゴミ記憶、思い出したくない不要な思い出を削除してあたまスッキリ! お子さまを虐待したあとなど、訴えられないよう記憶を消すのにもご活用いただけます。書き込み速度は1物理時間あたり1800時間の1800倍速。これなら幸せな1年がすぐ構築できますネ♪ ――今なら豪華特典!「ハッピー幼児期体験レプリカ」1024話に、恋愛シミュレータ「わくわくメモリアル」つき! もう君は物理世界に戻れない。

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「直結するより、なかみを仮想化せよ。脳のような物理メディアはテンポラルだ」

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競争の孤独と競争のない孤独

2001年10月27日
記事ID d11027a

パピルス、粘土板、石版、木片、木質紙。

リサイクルと言うよりも

本や雑誌やCDを物理的に送りまくる必要は無い。ひとりひとりが同じ映画を録画したビデオを別々に保存する必要などない。本のカタチ、ビデオテープのカタチはゴーストをつつむ包装にすぎない。

充分に速い線があれば、日々の新聞など要らない。すべて共有できるし、配達より速い。

生活するには絶対にカネがいると誤解しているからだ。何も売らないでいいし何も買わないでいい。購入力のためにつらい競争をしなくていい。――早くお金のない平和な世界になりますように。

激しい競争のために商品はコストダウンし、まわりには、軽薄でつまらないものが満ちあふれる。その満たされなさを埋めようとさらに物質に走った古代人。

空間が意味を失うから都市/職場の近くに住む必要はない。てきとーに散らばっていればいい。損も得もない。

「働かなくて良いなら人間は何のために生きるのか」? ――今は?

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