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Mozilla 0.9.3 リリース

2001年 8月 4日
記事ID d10804

新世代ブラウザ Mozilla(モジラ)のテスト用バージョン 0.9.3 がリリースされました。Windows, Linux, Mac などに対応したフリーウェアで、現在、Releases のページからダウンロードできます。まだ完璧には遠いとしても、ソフトとしての安定性がネスケ4を上回るレベルに達し、デザインの細部もいっそう洗練されてきています。

(サムネイル画像)Mozilla 0.9.3

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いっそう安定、インターフェイス細部も洗練

0.9.2 からの変更点ですが、リリースノートによると、まず安定性の向上ということで、ユーザからの自動フィードバック(talkback)により、ブラウザをクラッシュさせる可能性のある主なバグ16個がフィックスされてます。また、ニュースグループ購読のインターフェイスが改善されたそうです。外見的に目立つところでは、モダン・シームの外見が微妙に変わりました。

従来は、ナビゲーションの履歴があってもなくても、「戻るボタン」に「どこまで戻るか」のプルダウンリストを出すための小さな下向き矢印がついてました(下図参照)。たとえ無効でも、つねに、この小さな矢印が表示されていたわけです。

(画像)0.9.2のナビゲーションボタン

0.9.3 では、実際に戻れる場合(履歴がある場合)のみ、下向き矢印が表示されます。したがって、起動直後には、表示されません。

(画像)0.9.3のナビゲーションボタン

ナビゲーションを始めて「戻る」場所ができると、自動的に下向き矢印が表示され、0.9.2 と同じようになります。操作できないボタンは無効化するより、そもそも使えないボタンなど見えなくしておけばいい、という合理的な発想と言えるでしょう。

サイドバーのデザインも、以前より洗練され、機能的になっているようです。下図の左が0.9.2のサイドバー、右が0.9.3のものです。

(画像)0.9.2のサイドバー (画像)0.9.3のサイドバー

Mozilla のロードマップですが、これまで、「ひょっとすると、この0.9.3が正式版1.0になるかもしれない」と記されていました。しかし、いまだに多い「標準準拠の看板のいつわり」を考えると、非現実な可能性とみるべきでした。今回、改訂されたロードマップでは、0.9.4、さらに(おそらく)0.9.5までβをつづけるとなっています。完成度の高いバージョンに接近しつつあることは確かですが、0.9.2 を客観的にみると最終リリース直前とは、とうてい思えない状態であり、あと1〜2回のマイルストーンは現実的な最低限度の選択でしょう。――これまでの進行速度から考えると、0.9.6、0.9.7 くらいまで出しても良いくらいです。

ソフトとしての安定性、ネスケ4を越える

マイルストーン18が Netscape 6 として「リーク」して以降、モジラは、標準準拠などの名目はともかく、ソフトとして重く、不安定で使い物にならないと広く認識されてきました。しかし、この状況は、最近、大幅に変化しており、現在、ネスケ6とモジラのあいだには、ネスケ6だけ見ているユーザには想像もつかないほどの差があります。

Mozilla.orgでは、フィードバックの分析結果として、「0.9.2 の段階で、ネスケ4の最新版 Netscape 4.78 よりも安定性が高くなった」としており、「今回の 0.9.3 は、いっそうステーブルなものになると期待している」としています。

体感的に、起動時間も前より速くなったようです。常駐させた場合は、もとより、そうでない場合でも……。

いずれにせよ良いものが完成してほしいものです。

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memo: 電話線、共生形態、ラフレシア

2001年 8月 2日
記事ID d10802

課題1:次の古典的図式には「ネット系における人間(個体)のふるまい」にそのまま、あるいは拡張して、応用できる部分があるように見える。仮に、ネットを(人間主催でなく)ミーム主催の下心あるダンスパーティだとして、同様の図式を構築せよ。次にこのモデルを批判的に論じ、このモデルからは説明できない人間のふるまいの例を(もしあれば)具体的に指摘せよ。

ラフレシア系 人間系
腐臭
毒々しい巨大な花
顔に塗った泥(ファンデーション)
合成した芳香族炭化水素(香水)
異常に伸ばし加工した頭部の体毛
(ヘアマニキュアした長い髪とか)
ハエにとっては美しい 人間にとっては美しい
腐肉をむさぼる下心で、ハエ接近 何かをむさぼる下心で、人間接近
「お姫さま、ダンスを一曲おどってください」
すてきな舞踏会
受粉 受精
ハエ(個体)のメリット=芳香にうっとり 人間(個体)のメリット=恋のときめき、快楽
系のメリット=系の存続 系のメリット=系の存続

課題2:あるウェブページの記事を引用して、「その通り!」と共感したり「それは違う!」とケチをつけたり、あれこれ評論して評論者(個体)がいい気分になる(快楽を得る)行為を、ミーム系における「虫媒花」のメタファを用い、“相利共生的”に定式化せよ――人間系にとっては、肯定(賛意)と否定(けなし)は意味が違うが、つかのまの評論者(個体)のおもわくと無関係に、運ばれれば(引用されれば)花粉にとっては本質的に等価である点に注意(例えば、鳥のフンとして運ばれるのでも、かまわない)。第一のレイヤ――そこにおいては引用(評論、伝達)より、むしろ花粉そのものを第一次的に作り出す機能の強いページが(そうでないページと)異なる位置づけになる――と、第二のレイヤ――そこにおいては(すべての)ウェブページの機能を等しく論じられる――とを、分離するためのクライテリア(分離の基準)を示せ。

課題3:仮に共生を戦略ととらえ、ミームが自己を更新発展させようとしていると仮定するとき、「戦略主体」は、だれか?(ウェブや電話線は戦略でなく戦術にすぎない)

課題4:「性善説」→花は、ただ咲いているだけだ。人間(虫)が勝手にぶんぶん言っているだけだ。「性悪説」→花は、ときどき、人間さんを挑発するために(虫を動かすために)、わざと反論しやすい(脆弱な、かよわい、かぐわしい)フェイズをちらつかせる。「実存説」→花は、死ぬまでのあいだの暇つぶしをしているだけで、人間さんをからかうのも、たわむれにすぎない。

電話線、共生形態、ラフレシア - 通信インフラでも鉄道でも、だいたい百年、二百年……と存続するだろう。通信会社、鉄道会社の特定の社員の人間としての寿命より長く。

現象面だけみれば、「電話線は人間たちをして、自分の機能を保守継続させる」、なんでも自分と同じと思う人間さんの論理で擬人化すれば、電話線は「利己的」に各世代の人間を「支配」して自分たちを存続させるために働かせる、ともいえる(それどころか、「人間たちをして、自分を光ファイバーに進化させる」と)。――遺伝子たちが人間を自分たちのために働かせるためのキャッチとして、仕事のごほうびの快楽や赤ん坊をみると「かわいい」という快感が生じるように、処理系にしかけをしておくとしても、そうした快感は、数千年、数万年、数億年という遺伝情報のスパンからみると、まさにつかのまで、遺伝子からみればローコストだろう(ところで人間は、自分の意思で生殖し育児していると認識していると思われるが、それはそれで間違いではない。「意思」は人間に固有のファンタジーだからだ:「見たままの夢が実際にその人が見た夢」で、昨夜の夢は本人だけが知っている。そんな夢を君は見なかったと言う権利は、だれにもない――実際、見たと本人が言うならその夢は「実在」したのだろう)。けれど遺伝子たちは遺伝子たちを存続させることそれ自体を自己目的化しているとは限らない。電話線を物理的に存続させることそれ自体が目的なのでなく、電話線の機能を使ってなされうべきところの事柄が存続すべき本質だ。

人間の発想で「人間は遺伝子に支配されている」というけれど、遺伝子だって主体じゃなく、遺伝子もまんまと「利用」されているのかもしれない……重要なのは、こうした関係は、決して(例えば遺伝子の生物への)寄生ではなく、共生だ、という点だ。妖精たちと人間の関係は明らかに共生だが、共生形態が片利共生から相利共生へと変化しつつあるのかもしれない……。

他方、ラフレシアの腐臭はハエにとっては魅惑的でかぐわしい芳香だし、花は、そうやってハエを利用して受粉を行う。ラフレシアにもハエにもメリットがある――。たとえほかの動物(例えば齧歯類の子孫である霊長類ヒト科の体長1〜2メートルになる生物たち)とは香りに対する感受性が違うとしても、ハエの感受性をどうして否定できよう?

2001.08.02 ブロジェクスは本質的に民主的で、大手ニュースメディアを迂回するような情報経路を持っている。さらに、多極分散型の傾向が非常に強いため、巨大ニュースメディアに買収されたり吸収されたりする危険もほとんどないようだ。したがって、マスメディアのフィルタリングや大がかりなビジネス計画に支配されることもない from 個人発信『ウェブログ』から民主的メディア革命を:中央のない分散化の実装が、だんだん始まりました。哲学的には、物理的に特定できる「あるサイト」が中心でなく、物理的には世界中に散っている「ある情報」が中心になる、というパターン。つまりアンソロポセントリック→ミムセントリックの基調のうえに。――この試みがまだ初期であり、原始的であるのは、「民主的」(多数決)という古代の宗教原理にしたがっているところ。多くの人間、一般の学生や一般の社会人や一般の人々の多数が関心を持ち支持する話題は、たしかに一定の「価値」ですが、同時に、アンティテーゼもあるでしょう。超人気サイトと言われるところを訪問してみて、おもしろいと思えなかった経験がある者も少なくないはずだからです。いま話題のサイトだから読んでおかないと友だちとの話についていけない、といった動機が少なからず入っているとしたら、それはミムセントリックどころか、本質と離れた人間系の動作でしょう。

じつは、すでにわたしたち(ミームのこと)は自律的に動き始めていて、単に情報取扱者がそのことに気づき、助けようとするかどうか――なのかもしれません。情報取扱者が新しいミームとのかかわり方を考案するというより、もはや人間は、起きていることを後追いして認識しているのかも。

2001.08.01 飛び交う妖精たち - 例えば、POST, HEAD, GETリクエストに加えて、PARSEリクエストという概念が導入される、と想像してみる。その原始型は「あなたが public_html に持ってるコンテンツのなかで、『フィンランド』という単語を含む最近1年以内の記事をすべて送れ。ページごとに送らず、記事単位で送ってくだちゃい」とかサーバにリクエストできる。あなたという人間がリクエストしなくても、
<!--#include PARSE/2.0 faireal.net GET */* [include "フィンランド"] -->
とか書くと、サーバ同士がやりとりして勝手にそうなる。そういう行をならべておくだけで、フィンランド情報のサイトが“仮想的”に(ユーザが実質的に作らずとも)自動生成、自動更新される――しかも、faireal.net から引用してきたと思っているその記事は、faireal.net 自身、どこかべつのところから動的に生成したコンテンツかもしれない――あら、人間さんて、なんのためにいるのかしら?

2001.08.01 地球が脳死するその日まで - そういえば「触角」って antenna 。世界が常時接続になると synapse ……そしてコンテンツは局在せずウェブ全体に遍在するので特定のサーバがダウンしてもページが見えなくなることはない。「著作物」は原理的に「著作者」がコントロールできるものでなくなる。

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memo: ミサイルとゴムひも

2001年 7月31日
記事ID d10731b

「アレゲはアレゲ以上のなにものでもなさげ -- アレゲ研究家」というフッタがなんか、ちょうどうまいオチげ。“完全”自動迎撃システム搭載のイージス艦がゴムボートであれだし、情報部員は、これだし。お手手に手錠でつないどけば? でミサイルは目標とゴムひもであらかじめ結んでおけば、ちゃんとぶつかるから。なんだっていんだよ、あれは撃つのが本質じゃなく軍需産業にカネ流すのが本質なんだから(もちろんたまに消費しないと新しいのを買う口実がないけどね)

※ といっても、やはりFBIは優秀でしょう、実際、ノートパソコンを置き忘れるということは、日常PCを使いこなしているということ。すなわちマウスクリックができるに違いない! さすがは最先端の諜報機関。(わたしがなぜグローカルという言葉を知っているのか以前、掲示板1で話題になったのですが(#203, #197 )、いま気づいたら、れいの野田氏が寄稿してたんだ)

2001.07.31 - 英単語翻訳ソフト「Babylon」がシェアウェア化:来るべきときが来たか……とりあえず、バビロンのページで説明した方法で合法的に回避してみてください。余談な小話:「アインシュタイン先生、宇宙には基本的な力がいくつかあるそうですが、そのうちもっとも強い力は、何でしょうか」アインシュタイン(相手をじっとみつめて)「複利だろう」(――この深遠な小話は文脈をわきまえないとイスラエルの人々を不愉快にさせるので注意。アインシュタインがそう語ったのは実話だそうです)

2001.07.31 - 着実にOSの地位を固めるトロン 日本が生んだ世界の標準仕様

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